指す将順位戦B3九回戦:対aquaさん

2月14日

みなさんは2月14日が何の日がご存知だろうか. バレンタインデー?NO.羽生さんが七冠を達成した日?あーまぁそれは将棋クラスタ的には正解かもしれないけど…….

正解はaquaさんと因縁の仲になった日でした!!!

というのも2月14日に以下のようなやりとりがあったのだ.

私は素直()に褒めてお礼を言っているいるのにaquaさんはすぐに殴ってくるのでこれは許せない!()

aquaさんとの直接対決が最後の9回戦に組まれているのはこのとき運命かと思った. 2ヶ月以上後の対aqua戦に向けて,それだけは絶対に勝つと固く誓ったのである.

棋譜

棋譜コメはないです!

意表の四間飛車

初手からの指し手
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角
▲4八銀△4四歩▲6八玉△4二飛
▲5六歩△6二玉▲7八玉△7二玉
▲9六歩△9四歩▲9七角(第1図)

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戦型は私の十八番となりつつあるクルクル角となった. 一応最近凝ってている戦法ではあるが,スペシャリストというわけではないのでそこは1つ断っておきたい. 最近aquaさんは居飛車も指しているので相居飛車になることも予想していたのだが,四間に飛車を振ってきた. 私がクルクル角を得意にしていることは知っているはずなので,なかなか男だなぁと思った次第である.

第1図からの指し手
    △5二金左▲7五角△8二玉
▲8八玉△7二銀 ▲7八銀△2二飛
(第2図)

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クルクル角ならよくある進行が続いたが,第2図の△2二飛は少し早いと思った. △2二飛は振り飛車の左銀の紐がはずれる前に指しておけば十分なので,かなり早い. 理由は以下のツイートで説明しているので載せておいた.

aquaさんの対策

第2図からの指し手
▲3六歩△4二銀▲3七桂 △4三銀
▲5七角△5四歩▲5八金右△4二角
▲1六歩△3三桂▲2六飛 △5三角
(第3図)

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ちなみにこの対局がいつあったのか覚えているだろうか? 5月3日である. どんだけ自戦記書くのサボってんねんってのは置いておいて,バレンタインデーの因縁ができたときから対局日まで2ヶ月半あったわけである. その間aquaさんにはかなり準備する時間があったわけで,たぶん第3図が私のクルクル角の対策だったのだ. △5四歩~△5三角の形を作ることによって,先手の2六飛を睨んでいる. 私は飛車を浮いてから▲3五歩と歩交換を狙う指し方をよくしているので,よく研究してきたのだろう.

第3図からの指し手
▲3五歩△同 歩▲同 角△3四銀
▲6八角△4五歩▲3六飛△3五歩
▲2六飛(第4図)

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明らかに先手の浮き飛車を狙っての△5三角なので,落ち着いて▲2九飛と引いてもよかったのだが,「この野郎!」という勢いで▲3六歩から歩交換を狙ってみた. もちろん勢いだけではなく,▲3六飛と一旦逃げて△3五歩を打たせてから▲2六飛と戻っておけば大丈夫という読みである.

第4図からの指し手
△4三金(第5図)

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結論から述べると,この金上がりを軽視していた. いや,読んでいなかった() しかもこの後△4三金を活かした好手まで発生してしまう. このあたりは少し模様を悪くしてしまったと思った.

何回も負けかける

第5図からの指し手
▲1五歩△8四歩▲4六歩△3六歩
▲同 飛△3五銀▲1六飛△4六歩
▲3六歩(第6図)

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△4四金~△3六歩とこられると厚みで潰されてしまいそうだと実戦では考えた.そこでまずは後手が1筋を突いてないので▲1五歩と飛車の逃げ場を増やした. そこから▲4六歩と動いたのだが,その瞬間の△3六も軽視していた.

そして第6図の▲3六歩は悪手である. 銀を△2六銀と逃げられてしまうと,A図のように次の△2七銀不成で飛車がピンチだ.

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第6図からの指し手
    △4四銀▲4六角△4五歩
▲5七角△5五歩▲4七銀△6四角
▲4八金△5二飛▲7九角△5六歩
▲5八歩(第7図)

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本譜は△4四銀だったので,こちらの飛車が一命を取り留めた形である. 3筋周辺の争いが一段落したあとは△5五歩と5筋から攻めてこられた. ここからも私のミスが目立って,▲4八金は3七の桂に紐をつける手だが,囲いから金が離れて感触が悪いし,▲7九角もそこに引くなら▲5七角と一度途中下車した手が無駄である.△5六歩に▲5八歩と凹んで受けた局面は居飛車不利だろう. タイミングを計って▲5八金右と美濃囲いを復活する手もないし,4五の拠点がなんとも嫌味で,完全に押さえ込まれてしまっている.

第7図からの指し手
    △5五銀▲2四歩△同 歩
▲4四歩△同 金▲2四角△3二歩
▲7九角△4六銀▲3八銀(第8図)

もうこちらとしては間違えてもらうしかない棋勢である. なんとなく▲2四歩と突き捨てて,なんとなく▲4四歩と叩いてみる. 一応金を上ずらせて3二に歩を打たせたのはこちらのポイントだが,後手には△4六銀と自然な攻めがある. △4六銀に▲同銀と取るのは△同歩と歩が伸びてくるのが気になったので▲3八銀と引いたのだが,これは悪手.

第8図では△7五角(B図)が好手. 居飛車に4八の金取りを受ける上手い手段がない. ▲4九金は△5七歩成から突破されるし,▲4九銀も△3七銀成(不成)から△5七歩成で突破される.

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第8図からの指し手
    △9五歩▲2六飛△9六歩
▲9八歩△2五歩▲同 桂△5七歩成
(第9図)

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本譜は△9五歩だった. これはこれで▲同歩と取ると角も9七の地点に利いていてなんとなく嫌だったので,2筋の突き捨てを活かして▲2六飛と回った. △9六歩の取り込みには苦しいが▲9八歩と凹んでおいた. そして△5七歩成が転機. ここから形勢の針がこちらに傾きだした.

後手の錯覚

第9図からの指し手
▲同 歩 △同銀成 ▲同 角△同飛成
▲同 金 △4八角 ▲2七飛△2五桂
▲5八金引△3九角成▲2五飛△3八馬
▲2一飛成(第10図)

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▲同歩に△同銀成と銀を捨ててきた. これには対局時相当驚いたが,同時にチャンスが来たのでは?と思った. ▲同角に△同飛成と飛車も切ってから△4八角. aquaさんはこの角打ちに期待したようだが,一旦は▲2七飛で受かる. △2五桂に▲5八金引と金に紐をつけてから▲2五飛と走った. 銀は取られても飛車が捌けるなら安いもんである.

第10図からの指し手
     △5一歩▲7六桂△1九角成
▲5二歩 △同 歩▲4一飛△5一香
▲4四飛成△7四馬(第11図)

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△5一歩. この手を見て流れは自分にあるなと思えた. 後手が△8四歩と突いているので,後の▲8四桂を見越した▲7六桂を決めてから▲5二歩と横から切り崩しにかかる. 二枚換えと金取りの両狙いの▲4一飛を打って,△5一香と守ってこられたので▲4四飛成と金を取った. 4四の金は完全に働いていなかったが,ここは無理をしない,負けない将棋を指そうという方針に切り替えていたので取ることにした. 後手は△7四馬と馬を引きつけて完全に粘りモード. こちらは焦らず着実に攻めていきたい.

第11図からの指し手
▲1一龍△4六馬▲5七銀△3七馬
▲4三歩(第12図)

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少し前までは相手の間違いを待つ状況だったが,今は自分が間違えていはいけない状況である. よって,とりあえず▲1一龍と駒を蓄えた. 攻め始めてから駒が足りなくなって香車を補充することになるのは嫌なので,先に取っておこうという思考である. 7九の地点を睨む△4六馬には▲5七銀と惜しげなく打った. もうなにより負けないことが大事なので,攻め駒が足りなくなる恐れとか考えてられない. そして第12図の▲4三歩が自慢の手である. いわゆる「友達をなくす手」であるが,まぁaquaさんなら今後とも仲良くしてくれるでしょうと思って打った.

後手猛攻

第12図からの指し手
    △9七銀▲同 歩 △同歩成
▲同 香△同香成▲同 桂 △9六桂
▲7九玉△5六香▲4八銀打△5七香
▲同 銀△8八銀▲6八玉 △9七銀不成
(第13図)

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さすがに後手としても▲4二歩成が間に合ったら目も当てられないので,△9七銀と勝負手を放ってきた. ▲同桂と取った後の△9六桂は実戦的に嫌な手で,「逆転してしまうかもしれない」という思いが常にちらついた. △5六香も▲同銀と取ったら何かあるかもしれないと思って▲4八銀打と打ったが,さすがにそれは取ってよかったと思う.

第13図からの指し手
▲4二歩成△8八桂成▲5一と△5六桂
▲同 銀 △同 馬(第14図)

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後手の持ち駒が桂1枚ではさすがに早い攻めはないと思い,満を持して▲4二歩成とと金を作った. △5六桂には▲同銀の一手. 銀を取った△5六馬に▲5七香と打って受ける手も考えたが,さすがにここは決めるところだろうと思いなおした.

収束

第14図からの指し手
▲8四龍△8三歩 ▲9四桂△7一玉
▲6一と△同 銀 ▲8二金△6二玉
▲5四龍△4六馬寄▲5七香△5三銀
(第15図)

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ワンチャン詰むのではと思って▲8四龍と王手をかけた. ひたすら目につく王手をかけて▲8二金まで決めたが,詰ましきれなかったので▲5四龍と回った. 一応5三の地点を塞ぐとともに5六の馬取りになっている手である. 王手をかけながら逃げる△4六馬寄には合駒をしながら5二の地点を狙う▲5七香がぴったり. 龍に当てながら5筋を守る△5三銀だが,これには詰みがある.

第15図からの指し手
▲7二金打(第16図) まで143手で先手の勝ち

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▲7二金打までで私の勝ちとなった. 以下△同銀の一手だが,▲7一龍までの即詰みとなる.

本局はお互いの得意形となり,そこから3筋での捻り合いや途中派手な手,逆転があって,大変面白い内容にできて満足である.

第一期指す将順位戦を振り返って

最初は「全勝します!」と大見得切って臨んだのだが,最終的には5勝4敗とぎりぎり勝ち越しというスコアになってしまった. 負けた4回は全部自分のミスで悪くしてしまった将棋なので,全勝も夢ではなかったと思う. 来期はB級2組で,一期のB級3組と同レベルのクラスなので,今度こそは全勝狙って頑張りたいと思います! 自戦記もそれなりにがんばります.

指す将順位戦B3八回戦:対ポールさん

棋譜

例によってまたioの棋譜を貼っておきます. 棋譜コメはないです.

石田流アレルギー

初手からの指し手
▲7六歩△8四歩▲7八飛 △8五歩
▲7七角△6二銀▲6八銀 △4二玉
▲4八玉△7四歩▲6六歩 △7三銀
▲3八玉△6四銀▲5八金左△7三桂
(第1図)

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 石田流アレルギーをご存知だろうか? 石田流アレルギーとは,石田流をアレルゲンとするアレルギーである. 主な症状として,▲7六飛で全身が痒くなり,▲7七桂で全身に発疹が. さらに▲9七角で石田流本組みを完成されると呼吸困難に陥ることもあり,大変危険である.

 肝心な石田流アレルギーの対処法だが,石田流に組まれることを未然に防ぐことである. 本譜の4手目△8五歩はとても大事な一手で,ここで他の手を指すと,すかさず▲7五歩から▲7六飛を見せてくる. そして△6四銀から△7三桂を急ぐことによって,先手の石田流を完全に防ぐことができる. 私も石田流アレルギーを持っているので,この組み方を愛用している.

第1図からの指し手
▲2八玉△3二玉 ▲3八銀△3四歩
▲5六歩△5四歩 ▲4六歩△3三角
▲4七金△5二金右▲1六歩△2二玉
▲3六歩△1二香 ▲8八飛△1一玉
(第2図)

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 △7三桂と跳ねたらそこから囲いに行く. 右辺に相当手をかけてから穴熊に囲うので,相当欲張りである.

駒得を主張してみる

第2図からの指し手
▲6五歩△同 桂▲3三角成△同 桂
(第3図)

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 先手は囲いが完成していて,後手はまだハッチを閉めることができていないという絶好のタイミングなので,先手は当然仕掛けてくる. ▲6五歩には通常△7七角成と後手から角交換をすることでパンツが脱げるのを阻止するが,本譜は単に△同桂と取ってみた. これで後手はパンツが脱げてしまうのだが,その代償に1歩得となる.

第3図からの指し手
▲7七桂△4四角▲7八飛△8六歩
▲同 歩△同 飛▲9八角(第4図)

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 ▲7七桂に△同桂は味消しな気がしたので,△4四角と打って先手の飛車を睨んでみた. ▲6五桂にはもちろん△8八角成と飛車が素抜ける. 7七の地点へ利きを足した▲7八飛で8筋が薄くなったので,すかさず△8六歩と仕掛ける. そして▲同歩△同飛に▲9八角が本局の重要な一着. 手の意味としては後手の飛車成の防ぎだが,さすがに角がもったいないので「これは悪手だ」と囁いていた……,私のゴーストが.

穴熊(バラバラ)

第4図からの指し手
     △7七桂成▲同 銀△同角成
▲同 飛 △8八飛成▲8七飛△9九龍
▲8一飛成(第5図)

 結論から述べると,第4図では△8七歩が最善手だった. そうしておけば先手に▲8九歩と受けさせておいてそこから先手に攻めの手がないので,ゆっくり囲いを堅くできるというわけである.

 本譜は△7七桂成からはじけてしまった. 角を切って飛車を成り込んで調子はいいようだが,▲8七飛が良い切り返しで,先手にも飛車を成られてしまった.

第5図からの指し手
    △5一香▲8九角△9七龍
▲8八角△同 龍▲同 龍(第6図)

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 △5一香と取ったばかりの香車を自陣に打ちつけているのはおかしい気がするし,▲8八角が3三に浮いているパンツを咎めた一着. 結局作った龍は角と交換になってしまったし先手陣が堅いので,形勢を損ねてしまったことを意識した.

第6図からの指し手
    △6六角 ▲8一龍△6五桂
▲5五歩△5七桂成▲同 金△同角成
▲3四角△3二銀 ▲3五桂△2四金
(第7図)

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 とりあえず自陣に手を入れることはないな?と思ったので攻めることにした. 手がかりがないときは飛車角桂香という飛び道具で相手の駒に取りをかけながら手がかりを作っていくと良い. なんとか金桂交換をして馬を作ったところで,先手は▲3四角から▲3五桂と2三の地点を狙った数の攻めを繰り出してきた. 流石に攻め合い勝ちは見込めないので,△2四金と打って方針を受け切り勝ちに切り替えた. 将棋ウォーズの3分切れ負けおかげで,このような展開はだいぶ慣れている.

長い長い終盤戦

第7図からの指し手
▲2六桂△4六馬▲3七桂 △3六馬
▲5一龍△同金寄▲4三桂成△同 銀
▲3一飛△2一飛(第8図)

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 ▲2六桂は角に紐をつけた手だが,△4六馬から△3六馬と桂の土台を削ることで攻め駒責め責めタイムが見えてきた. 先手としては角と3五の桂が取られてしまうと相当きついので当然暴れてくるのだが,▲5一龍は驚いた. 当時の私は△同金寄と取ったみたいだが,これは疑問手. △同金引の方が金が玉に近いのだが,4三の地点への利きが減ることを気にして寄で取ったのだと思う. ▲3一飛も読み筋になくて相当びびっていたのだが,本譜の△2一飛で受かっている.

第8図からの指し手
▲3二香△同 銀▲同飛成△3一銀
▲4三銀△2六馬▲3六歩(第9図)

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 ▲3二香と香で飛車につないできたが,△同銀と取って▲同飛成に△3一銀と打ちつけた. 終盤戦で受ける展開は,「相手の攻め駒を減らして自陣の守り駒を増やせ」と私の脳みそにインストールされている. 先手も▲4三銀と清算せずなかなかわかりやすくしてくれないが,龍か銀を取ると相手の調子が良いと思ったので,このタイミングで△2六馬と角に紐をつけている桂をはずしてみた. ▲同歩だと△3六桂がきついと思われたのか,「敵の打ちたいところに打て」で▲3六歩と打ってこられた. しかし馬が生還するようでは,さすがにこちらが良くなったと思った.

第9図からの指し手
     △3四金▲2一龍△同 玉
▲3四銀成△3七馬▲同 銀△5六角
(第10図)

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 自玉の安全を重視して,馬を逃げるのではなく△3四金と角をはずした. そして▲3四銀成には△3七馬から△5六角! 3四の成銀取りと2九への駒の打ち込みをみている. このような両狙いの手を指すために将棋を指しているといっても過言ではない.

第10図からの指し手
▲3三成銀△2九飛▲1七玉△2五桂
▲2六玉 △1四桂▲1五玉△3二香
(第11図)

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 先手としては受けても仕方がないので▲3三成銀と強く出てこられた. ▲3二角からの詰めろである. 成銀には逃げられたが,2九への打ち込みは残っているので△2九飛とぶち込む. そこから王手を決めれるだけ決めて△3二香と受けた. 実践的ひよりである.

第11図からの指し手
▲1一飛 △同 玉▲2三成銀△同 角
▲2四金 △2二歩▲2五金 △2七飛成
▲2六歩 △3七龍▲2四桂 △2六桂
▲1二桂成△同 角▲2四桂 △2三桂
(第12図) まで116手でアーシェの勝ち

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 またもやものすごい駒捨てをやってこられて相当びびったが,なんとか落ち着いて対処して最後は一手詰までとなった. 第11図からは相当なポカをしない限り後手勝ちなのだが,私は心底びびりながら指していた.

一局を振り返って

 「優勢を意識しすぎるとよくない!」は心に刻むべきだと思う. あんなスカスカの穴熊で角を切ってしまうのはさすがによくない. それは置いておいて,本局は逆転あり白熱の終盤戦ありで,見ごたえのある将棋は指せたかな?と思っている. 優勢を維持したままストレートに勝った方が対局時は楽なのだが,色々あったほうが自戦記は書きやすい().

 さて,本局に勝ったおかげで一応勝ち越しの目を残すことができた. 色々な因縁がかかった最終局はいったいどうなったのか!? 大ボリュームでお届けするのでお楽しみに!

指す将順位戦B3七回戦:対Diceさん

棋譜

 将棋ioのブログパーツとやらを貼ってみました! 脳内盤がつらい人はぜひこちらでも確認をどうぞ.

ここまでの指す将順位戦

 6回戦まで終了して私の戦績はなんと2勝4敗! 全勝しますと宣言していた割には勝ち越しすら危うくなっている. せめて勝ち越しくらいはしておきたい. ところで,ここまで上げた勝ち星2つはどちらもクルクル角である. Diceさんも四間に振ってくれればこっちがクルクル角を発動して楽勝(楽勝ではない)なのだが,残念ながらDiceさんは居飛車党である. 戦型は角換わりになるだろうとの見立てであったが,私は最近の角換わりの流行にあんまりついていけていないので,正直勝てるか結構不安であった.

先手角換わり

初手からの指し手
▲2六歩 △3四歩▲2五歩△3三角
▲4八銀 △8四歩▲7六歩△2二銀
▲3三角成△同 銀▲8八銀△3二金
▲7八金 △6二銀(第1図)

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 私が先手番になったので,例によって▲2五歩を決めてからの角換わりになった. 第1図でDiceさんが△7二銀ではなく△6二銀と上がっているのは,実は重要ポイントである. と言うのも,最近B3のメンバーを中心にDice研が発足したのだが,そこのVSで△7二銀は▲4五桂を誘発するので危ないのでは?という話があった. 早速それが活かされているので,研究会の良さをいきなり実感することとなった.

第1図からの指し手
▲4六歩△6四歩▲4七銀△6三銀
▲6八玉△7四歩▲3六歩△7三桂
▲3七桂△4二玉▲1六歩△1四歩
▲9六歩△9四歩▲4八金△8一飛
▲2九飛△6二金▲7七銀△8五歩
▲4五歩(第2図)

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 だいぶ局面を進めたが,最近のよくある相ポナ流の形で▲4五歩と突いたところである. ここら辺まではプロの猿真似なので私でも指せるのだが,ここからの形勢互角を保った好防は難しすぎるので,だいたいいつも適当になる. 一応▲4五歩の狙いとしては,▲4六角と角を設置したあと,▲3五歩から一歩交換しながらじっくり指そうということである.

第2図からの指し手
    △9二香▲4六角△3一玉
▲5六歩△8四角▲5八金(第3図)

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 △9二香は▲4六角のラインから避ける意味だろう. それでも3筋の歩を切る狙いはあるので▲4六角と打った手に対し,後手は△3一玉. そして腰掛けを前進させる▲5六歩! ポナ流は普通の角換わりで指せないこの手を指せるのが楽しいのである.

 ちなみに,「角交換に5筋を突くな」という格言があるが,それはA図のような局面だと△3九角と打たれて馬を作られてしまうからである. ポナ流ならばそのような心配がないので突けるわけである. 銀が腰掛けられなくなるが,そもそも銀が4七から動くと3六の地点に利きがなくなって3筋の歩を切れなくなるので,どうせ動けない. だったら角の退路を確保する意味でも突いておきたいわけである.

 ▲5六歩に対して,後手はそれを咎める意味で△8四角と打った. これを受けるには本譜の▲5八金と▲5八玉がある. ▲5八玉はバランスが良いが,下手に玉が動けなくなってしまう. また,金が質駒になるデメリットもある. 本譜の▲5八玉は玉が動ける,金が質駒になっていないメリットがあるが,金と飛車が下手に動くと角が成られてしまうので,一長一短である.

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開戦

第3図からの指し手
    △9五歩(第4図)

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 △9五歩でいよいよ開戦した. こちらとしては▲3五歩から一歩持つつもりだったのだが,先に仕掛けられてしまったので失敗したかな,と思っていた. ここまで私は持ち時間を3分しか使っていなかったので,▲同歩△同香▲同香△同角に▲2八香と打てばいけるんじゃないか?と思って読みを進めていたのだが,そこで△6五桂(B図)と反撃されると相当うるさい攻めになると思ってやめた. Diceさんは局後この仕掛けを後悔していたが,こちらはこちらで相当焦っていたのである.

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第4図からの指し手
▲2四歩△同 銀▲9五歩△3三銀
(第5図)

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 ということで,端を相手にする前に▲2四歩と突き捨ててみた. これは△同歩に▲9五歩から一歩入手して,その後▲2五歩と継ぎ歩攻めをする狙いである. しかし△同銀と取ってこられたので,▲5五角から角のラインで攻める狙いが生じた. 一歩あるとなにかと便利なので▲9五歩と取ったのだが,ここで△3三銀と角のラインを気にして戻った. しかし3三は桂が跳ねると当たる位置なので,ここで少し有利を意識した.

攻めダルマになる

第5図からの指し手
▲3五歩△同 歩▲2五桂△2四銀
▲5五角△3三桂▲同桂成△同 銀
▲2五桂△2二銀▲3四歩△2一桂
(第6図)

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 あとは後手が端に手をつける暇ができないように攻めあるのみ! とりあえず▲3五歩で3筋に歩が立つようにして,▲2五桂と跳ねる. △2四銀とかわした手に▲5五角!これこそ絶品チーズバーガー. そこから執拗に3三の地点を攻める. ▲3四歩で▲3三歩と打ってしまうと△4二金とかわされて微妙だと思ったので,▲3四歩と垂らしたのは私イチオシの手だったのだが,△2一桂と普通に数で受けられて,正直後続に悩んでしまった.

第6図からの指し手
▲1五歩△5四歩▲2二角成△同 玉
▲1四歩△1二歩(第7図)

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 いきなりは寄せられないので,▲1五歩と端から行ってみた. 端から行くメリットとして何かしらのタイミングで△1三同桂となれば,3三の地点の利きが減るので3三に殺到康光できそうだからである. そして△5四歩にはもうズバッと▲2二角成!逃げている暇などないのだ. 王手で角を切ったので,▲1四歩と端の取り込みもできた.

第7図以下の指し手
▲1三歩成△同 歩▲同香成△同 香
▲同桂成 △同 玉▲3三銀△同 金
▲同歩成 △同 桂▲3四歩(第8図)

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 ▲1三歩成から桂損で端を清算したのは,▲3三銀の打ち込みを狙ったからである. ▲3三銀に△同桂なら▲同歩成△同金に▲2五桂のふんどしを決める予定だったが,実はその展開は先手にとって微妙だった説ある. が本譜は▲3三銀に△同金だったので,▲同歩成△同桂に▲3四歩と歩で攻めが続いたので,なかなかに先手好調である.

白熱の最終盤

第8図からの指し手
    △3六歩▲3三歩成△2四角
▲3五歩△2六香▲2三と △同 玉
▲3四金△3二玉▲2六飛(第9図)

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 完全に自画自賛なのだが,▲3五歩ななかなか感触の良いの手である.△2四角は王手と金取りで,合駒に歩以外は使いたくないし,▲6九玉とかわすのも何か気持ち悪いのだが,この中合いで解決できた. しかしそれに対して△2六香がなかなかの切り替えしで,▲同飛にはもちろん△3五角が王手飛車取りなので取れない. なのだが,それには▲2三とと一旦と金を捨ててから王手で▲3四金と打つことによって3五の歩に紐をつけることで,▲2六飛と香車を取ることができた.

第9図からの指し手
     △1五銀▲3六飛△3三歩
▲2四金 △同 銀▲3四歩△2五金
▲3三歩成△同 銀▲1四角(第10図)

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 ▲2六飛に後手は△1五銀と飛車取りをかけながら角に紐をつける切り返し. この辺は本当に白熱の好防で,指していて本当に楽しかった.いや本当に. これがあるので,わざわざ自戦記の途中にネタを挟む必要もないと思った. しかしどこかで終わりが来てしまうもので,△2五金はまずい手だった. ▲3三歩成△同銀と金と銀の連結をはずしてから▲1四角の王手金取りが炸裂したときはさすがに勝ちになったと思った.

第10図以下の指し手
     △2三歩▲2五角 △2四桂
▲3八飛 △3六歩▲3四歩 △4二銀
▲3三金 △4一玉▲4二金 △同 玉
▲3三歩成△同 玉▲3五香 △4二玉
▲4四歩 △5一玉(第11図)
▲4三角成△5二銀▲5四馬 △6三金
▲同 馬 △同 銀▲5三銀 △5二金
▲4三歩成△4九角▲5二と △同 銀
▲6二金(第12図)
まで125手で先手の勝ち

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 一気に進めたが,▲3三金と打ち込んでからは上から押し潰していって寄りとなった. 重ねて言うが,終盤本当に良い内容の将棋が指せたと思う.

あと2戦

 実は8回戦の対ポールさん戦が終わったタイミングでこの自戦記を書いているので,知っている人はその結果を知っているわけである. が,特別措置として結果を公表して欲しいという問い合わせは来ていないので,8回戦が行われていないタイミングの心境を書いておく(). ポールさんは矢倉も指すが三間飛車がメインである. 実は対三間が苦手なので,願わくば私が後手で急戦矢倉をできないかなーと思っていました. さて,8回戦はアーシェの希望通り矢倉戦になったのか!? それでは次回,「対三間飛車!」お楽しみに!

指す将順位戦B3五回戦:対skrtさん

 初手謝罪なのだが,実は四回戦の対右の左にネさんとの対局の自戦記を書いていない. というのも,内容がやたらひどくてネタにもならなかったので書くのをやめました.ネ右さんが嫌いとかいうことではないので許していただきたい.

盤外戦

 実は対局開始前に棚橋さんから「居飛穴期待してます!」と煽られていた. skrtさんは四間飛車党で,私はとじけんさんに対しても使ったように対四間にはクルクル角からの左美濃を予定していた. でもクルクル角からの左美濃は最近のマイブームというだけなので,居飛穴が苦手なわけではない,それどころかウォーズ初段の原動力にもなった主力戦法である. というわけで下記のように居飛穴で戦うと宣言しておいた.

クルクル角

初手からの指し手
▲2六歩△3四歩 ▲2五歩 △3三角
▲4八銀△3二銀 ▲5八金右△9四歩
▲9六歩△4二飛 ▲6八玉 △6二玉
▲5六歩△7二玉 ▲7八玉 △8二玉
▲9七角△5二金左▲7五角(第1図)

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 先手を引けたのでラッキーである. そういえば指す将順位戦は事前に先後が決まってないのがプロの順位戦と異なる. skrtさんは予想通り四間飛車(事前に四間飛車と宣言していたのだが),△4四歩を決めていないのがKKSを匂わせているが,クルクル角は角道を開けていないのでそこら辺は関係ない. やはり優秀な戦法である.

 クルクル角についてちゃんと説明しておくと,四間飛車に対して5三の地点に紐がついていない状態で▲9七角と端から角を覗く. △5二金と受けた手に対して▲7五角と出る. こうして8八の地点から角をどかして,角道を開けずに玉を深く囲うのがクルクル角の狙いである. ここから穴熊を組みにいくのもアリだし,左美濃に囲ってさっさと戦いを起こすのもアリである.

宣言通り

第1図からの指し手
    △4四歩▲8八玉△4三銀
▲3六歩△7二銀▲1六歩△1四歩
▲7八銀(第2図)

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 鈴木八段が九段に昇段しましたね. 鈴木九段は竜王戦で藤井竜王(当時)に挑戦する前,全局振り飛車で行くと宣言して,実際全局振り飛車を指した,なんてことがあった. 私も居飛穴でいくと宣言したので,宣言通り穴熊(美濃)に組んだ. いや穴熊(美濃)って意味がわからないのだが,棚橋さんが言っていたことなので私は知らない.

第2図からの指し手
    △5四銀▲3七桂△4五歩
▲5七角△6四歩(第3図)

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 さて,お互い自然な手を重ねたように見える第3図だが,ここで手筋の一着がある.

第3図からの指し手
▲5五歩(第4図)

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 将棋はこういう手が指せると気持ちが良い. この手は要するに「取ってくれ!」と言ってる手である. ここから一番居飛車にとって都合の良い展開は第4図から,△同銀▲2四歩△同歩▲同角△2二飛▲3三角成△2八飛成▲5五馬(A図)である. A図は居飛車が銀得で3七の桂馬の活用がし易く,玉形も振り飛車より堅いので居飛車大楽勝の局面だろう. ▲5五歩△同銀を入れた効果で銀を馬で取れるようになっている. 当然▲5五歩に△同角は▲2四歩から飛車先突破できるので,これも居飛車良し.

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チャンスを逃す

第4図からの指し手
    △同 銀▲2四歩△同 歩
▲同 角(第5図)

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 ▲5五歩には△6三銀と引いておくのが良いと思うが,本譜は取ってくれたので狙い通り▲2四歩から飛車先突破しに行く. そして第5図の局面,私には実戦経験が複数回ある局面で,ここまでの私の消費時間は1分18秒,skrtさんの消費時間は13分13秒. 消費時間も考慮すればかなり優勢の局面である.

第5図からの指し手
△4六歩(第6図)

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 ここで過去全ての実戦経験に別れを告げた. △2二飛は居飛車が銀得になるので,△4六歩はこの局面で最善だと思われる. 今まで△4六歩と指されなかったのが不思議なレベルだ.

第6図からの指し手
▲同 歩△同 銀▲3三角成(第7図)

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 ▲3三角成は悪手だった.△同桂が手順に飛車から逃げることができているので,正直「何かおかしいな?」とは思いつつ指した. 何かおかしいなって思ってるなら指すなって感じだが,指してしまったものは仕方がない. 最善手は▲3三角成に換えて▲4六同角と,銀と刺し違える手である. 以下△同飛▲2一飛成(B図)となれば,駒割りは▲銀桂△角の2枚換えで,先手だけ竜を作ることができているので居飛車良しだった.

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振り飛車良し

第7図からの指し手
    △同 桂▲4七歩 △2七歩
▲同 飛△3八角▲2三飛成△4七銀成
▲同 銀△同角成▲同 金 △同飛成
▲3三龍△3七龍(第8図)

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 △2七歩から△3八角が上手い手で,ズバっと後手に捌かれて第8図. 居飛車大楽勝のはずだったのだが,振り飛車にスッキリ捌かれて玉は振り飛車の方が堅い,なんてこった.

第8図からの指し手
▲7六桂△3九龍▲6六角△1九龍
▲5九歩(第9図)

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 好防っぽい角を先手で打って,底歩で堅くしたのが第9図. 誰がどう見ても居飛車が苦しい.

勝負手

第9図からの指し手
△6五香(第10図)

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 △6五香は角に当てながら寄せの種駒を増やした手だが,ここは△6五金の方が勝ったと思う. 金を打った場合6四の歩に紐がついて後に▲6四桂と跳ね出せなかったし,本譜のように▲5五角と竜に当てながら逃げる手もなかった. ちょっと元気が出た,ちょっと.

第10図からの指し手
▲5五角△1七龍▲6四桂△6七香
▲同 銀△同 龍▲6八香(第11図)

f:id:Ashe_is:20170302015901p:plain

▲6八香は勝負手. 銀を打つより薄いが,相手陣に向かって発射する手を見ている. まだ形勢は少し後手がいいと思うが,もうちょっと元気が出てきた.

元気もりもり

第11図からの指し手
     △5六龍▲7二桂成△同 玉
▲6一香成△同 玉(第12図)

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 △5六龍に換えて△6四龍と桂馬を取られるとまだこれからの勝負だったのかな,と思う. 本譜は△5六龍だったので元気もりもりになった. 思わず古臭い表現が飛び出す. 桂香が一気に相手の守備駒と交換になって,一気に玉の堅さが逆転した. インド人もビックリである.

第12図からの指し手
▲3一龍△5一桂▲6二歩(第13図)

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 とりあえず3三でずっと遊んでいた竜を活用して,▲6二歩と叩く. 天王山の角が竜当たりになっているが,この瞬間は6四の地点を押さえているので,角を取られる前に寄せてしまおうという算段である.

第13図以下の指し手
    △7二玉▲6一銀△8二玉
▲7一角△9二玉▲9三銀△同 桂
▲8二金(第14図)
まで83手で先手の勝ち

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 ▲6二歩に△同玉なら即詰みはなかったのだが,△7二玉と逃げたために即詰みが発生した. ▲6一銀に△6二玉の場合は▲5二銀成から詰みで,本譜は美濃囲い崩しの代表的手筋で詰みとなった.

今後の課題

 本局は第6図では△6四歩が最善で,その後の変化で角を切れば居飛車優勢になることを勉強できて,しかも辛勝ならが勝ちには勝ちだったので個人的には満足である. 今後も穴熊(美濃)の堅陣を活かしてバシバシ勝ち星を積み重ねて行きたい.

 さて,今後の課題とは将棋のことではない,文章のことである. みなさん,aquaさんのブログを見ただろうか,面白い(直球). 下にリンクを貼っておくので読んで欲しい.

aquaharuka.hatenablog.com

 そしてみなさん,棚橋さんの自戦記を見ただろうか,面白い(直球). 下にリンクを貼っておくので読んで欲しい.

shogi.io

 個人的には棚橋さんの文章が大好物である. 夜寝ようと布団に入った午前3時,棚橋さんの文章を思い出して笑いが止まらなくなり寝れなくなったことがある,許さない. 私は緩急が激しいというか,マジメな話をした直後にふざけるとか,将棋の解説をしていたのに急にチョコの宣伝をし始めるとかいう文章に弱い. しかしどうも私が自戦記を書くといつもクソマジメになる,なぜなのか.

 今後の棋力向上のためにも,aquaさんや棚橋さんの文章から盗めるものを盗んで行きたい.

指す将順位戦B3三回戦:対lldさん

角換わり4八金2九飛型

 指す将順位戦はここまで1勝1敗,「三回戦も勝って勢いに乗りたいところ」なんて言われる成績である. ちなみに,2勝ならば「このまま全勝で突っ走りたいところ」,2敗ならば「ここで勝って流れを断ち切りたいところ」と言われるわけである.

 さてlldさんなのだが,居飛車党で相居飛車は角換わり・相掛かり・急戦矢倉を指すという,一手損角換わりを指さない点を除けば私と同じである. ありがたいことにウォーズのIDを公開してくれていたので棋譜を嘗め回すように見たが,角換わりが多めで,その中でも4八金2九飛型(以下ポナ流)がほとんどだった. そして対局日の2月5日は棋王戦の第1局で,偶然にもその将棋はポナ流であった. 浮かむ瀬にポナ流で気になる局面を色々と検討させたのだが,先手番の場合千田六段のように指す(腰掛けずに▲4六角を打つ)のがベストだ!と思って対局に臨んだわけである.

角換わりじゃないじゃないか!騙された!

初手からの指し手
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角
▲4八銀(第1図)

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 初めて先手番を引いた. 私は▲2五歩を決めてしまう人なので,△3三角▲4八銀から角換わりになるのは予定通り. 最近は2五に桂を跳ねる展開にならないので,飛車先を決めてしまっていることはあんまり気にならない.

第1図からの指し手
△5二飛(第2図)

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アイエエエ!?ナカビシャ!?ナカビシャナンデ!? と一瞬びびったが,いわゆるアレである,研究はずしである. まぁもうこうなった以上は仕方ない,いつも通りの中飛車対策をするしかない.

居合い抜き超速

第2図からの指し手
▲6八玉△6二玉▲3六歩△3二銀
▲3七銀(第3図)

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 私の中飛車対策はいつも居合い抜き超速である. 角道を開けない超速という言い方もするが,私は村山七段命名の居合い抜きという呼び方が気に入っている. 第3図のように,角道を開けずに銀を4六に出て行こうとしたわけだが.

第3図からの指し手
△4四歩(第4図)

f:id:Ashe_is:20170211151920p:plain

 いわゆるノーマル中飛車というやつである,角道を止めてきた. ノーマル中飛車に対して銀を4六に出ると,そのうち△4五歩と追い返されるので,仕方なく穴熊に組みに行く方針に変更した.

変更した方針の変更

第4図からの指し手
▲5八金右△7二玉▲7六歩△5四歩
▲6六歩 △6四歩▲7八玉△6二銀
▲7七角 △7四歩▲6七金△6三銀
(第5図)

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 さて,穴熊を組みに行くことにしたわけだが,またも方針の変更を余儀なくされる. 駒組みを見て「木村美濃か?」とも思ったが,第5図を見てわかる人はわかるであろう,風車だ.

 風車は元々右玉的な発想の戦法で,穴熊に対してバランスで対抗してやろうという戦法なのだが,最近阿部光ー近藤誠戦で光瑠六段が穴熊潰しの速攻を仕掛けた将棋があった. 感想戦で話を聞くと,lldさんはそれにあこがれて風車の作戦を選択したそうである. 私もそれを察して穴熊に組むのをやめて急戦で行くことにした. 二度目の方針変更である.

錯覚

第5図からの指し手
▲4六銀△4三銀▲1六歩△9四歩
▲9六歩△6二金▲6八銀△7三桂
▲3五歩(第6図)

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 結局急戦で行くことにしたので,玉の囲いはそこそこに▲3五歩と仕掛けた. 対ノーマル中飛車の知識は「羽生の頭脳2」で読んだくらいなので,角頭攻めればいいでしょ的な認識である.

第6図からの指し手
    △同 歩▲2六飛 △3四銀
▲5六歩△4五歩▲5七銀引△5五歩
▲4六歩△6五歩(第7図)

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 △3五同歩に▲同銀と行く予定だった. それでよかったのだが,対局時は5筋の位を取っていない効果で△4五歩から△5五角と覗かれる手がどうしても気になってしまった. この△5五角と覗かれる手は,こちからガンガン攻めれば指す暇がなく有り得ない手なのだが,当時なぜか気になってしまって,▲2六飛と浮くことで飛車を先逃げした. わけわからん.

ここから4筋から6筋の歩を連続で突かれ,第7図はもう一気に押しつぶされそうである. あ,でも歩が3つぶつかったから初段だやったぁ!!

もうだめだぁ・・・おしまいだぁ

第7図からの指し手
▲2四歩△同 歩▲3七桂△5六歩
▲同 銀△6六歩▲同 角△同 角
▲同 金△4八角(第8図)

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 第7図から▲2四歩と指して,歩が4枚ぶつかった. これはもう四段くらいあると言っても過言ではない(過言).

 浮かむ瀬先生に△5六歩に▲同金と取れば互角だと後で言われたのだが,▲同銀と取ってしまったのでもう遅い. ズバっと進めて第8図,金桂の両取りが掛けられてなんかもうダメである.

第8図からの指し手
▲5三歩△同 飛▲4四角△6六角成
▲同 角△5六飛▲5七銀△6六飛
▲同 銀△2五歩▲6四歩(第9図)

f:id:Ashe_is:20170211152107p:plain

 もうここまで悪くなってしまったら仕方ない. 両取り逃げるべからずで飛車先を叩き紛れを求める. ▲5七銀のところは「えいや!」と▲1一角成の方が嫌だったと言われた,確かにそう思う. そして第9図の▲6四歩はもう最後のチャンスである. 取ってくれれば飛車のコビンが開いて色々ありそうだったが.

第9図からの指し手
△2六歩▲6三歩成△同 金▲4四角
△5三銀▲1一角成△3八飛▲5八香
△5七歩(第10図)

f:id:Ashe_is:20170211152246p:plain

 なんやかんやあって第10図. 飛車を打って合駒をされたら,その駒を歩で攻めるという後手にしたら理想的な展開. こういう展開になったら将棋はだいたい終了である.

将棋ウォーズなら・・・

第10図以下の指し手
▲同 銀 △5六歩 ▲4七銀△3七飛成
▲5六銀右△6八歩 ▲同 玉△6四桂
▲1二飛 △6二金打▲6七銀△4六歩
▲4八歩(第11図)

f:id:Ashe_is:20170211153211p:plain

 私は24でR700前後な割にはウォーズ二段である. というのも不利な局面になったら第10図以下の指し手のように,攻めと受けとふわっとした手を織り交ぜ,相手に時間を使わせて悪手を誘発することでまくることがまぁまぁできるからである. しかし本局は15分60秒なので当然時間切れはない,なかなか間違えてくれない.

第11図以下の指し手
    △2三銀▲2二飛成△3二銀
▲5四歩△同 銀▲2一馬 △5六歩 (第12図)

f:id:Ashe_is:20170211153914p:plain

 △2三銀から馬の利きを止めにこられてもう参った. そして安定の歩で攻められる展開である,きつい.

第12図以下の指し手
▲6六銀右△6五歩 ▲7七銀△8五桂
▲3二馬 △7七桂成▲同 玉△3二金
▲同 龍 △6六歩 ▲5七歩△6七歩成
▲8六玉 △8四歩(第13図)

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 これが四面楚歌というやつである. 将棋は逃げる空間,受け駒を埋める空間がなくなれば受からない. あとは「頓死してくれ!」と祈るのみ.

第13図以下の指し手
▲5一銀 △8五銀▲9七玉△7六桂
▲6二銀成△同 金▲8二金△6三玉
▲6四金 △同 玉▲6二龍△6三歩
まで118手で後手の勝ち

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 △7六桂と跳ばれて必至. ここで詰ませば私の勝ちなわけだが,さすがに詰まない. 悔しいが,△6三歩の局面で投了した.

大反省

 なかなかひどい敗戦だったと思う. 一発悪手を放って,そのままひっくり返せず負けというのは楽しくない(). これから私と対局する人,研究はずしをすると相当効くみたいですよ?

 これで私は1勝2敗,「次戦は勝って五分の星に戻したいところ」なんて言われるわけである.

指す将順位戦B3二回戦:対とじけんさん

対局準備

 とじけんさんは将棋ウォーズのアカウントを公開してくれていたので,事前にウォーズの棋譜を確認したのだが,どうやら角交換四間飛車を中心とした振り飛車党のようだった. 実はこの頃少し忙しくてまともに対策する時間はなかった. ということで,「クルクル角指せばKKSなんてこわくねぇぇぇ!!」というスタンスで挑むことにした.

また後手番

初手からの指し手
▲7六歩△8四歩▲6六歩△8五歩
▲7七角△6二銀▲7八銀△4二玉
▲6八飛△5四歩▲3八銀△1四歩
▲1六歩△1三角(第1図)

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 また後手番を引いた,ついていない. こちらの初手△8四歩に対して,とじけんさんはすぐに角道を閉じてきたので,私がクルクル角を指すことは想定しているのだと思った. 第1図は△1三角とクルクル角を発動した局面. 本当は▲3九玉を待ってから端に角を出たいところなのだが,先に▲5八金左と備えられてしまうと端に出られなくなってしまうので,本譜のタイミングで角を出ることにした.

第1図からの指し手
        ▲5八金左△2二玉
▲3九玉△3二銀▲8八飛 △7四歩
▲5六銀(第2図)

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 第2図はほとんど左美濃に組めているので,クルクル角側としてはだいたい満足である. 欲張って穴熊に組みにいくと,過去の経験上結構潰されるので自重している. さて▲5六銀と腰掛けてきたわけだが,これは5四と7四どちらかの歩を狙っているので,ここで居飛車としては動いていきたいわけである.

第2図からの指し手
    △7五歩▲同歩 △5三角
▲6七金△9四歩▲4五銀△8四飛
▲6五歩△7三桂▲7六金△5二金右
(第3図)

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 7筋の歩を突き捨てて,▲4五銀に対して飛車を浮いて5四の歩を守った. 結局一歩損したのだが,それは自分で突き捨てたのであまり腹は立たない. 先手玉の方が薄くて,こっちは右桂を跳ねることができているので,後手番にしては形勢はまぁまぁだと思っていた. 次に△6四歩などの手で動くつもりで,△5二金右と左美濃を完成させたわけだが…….

局面が大きく動く

第3図からの指し手
▲8六歩△同歩  ▲8五歩 △同桂
▲8六飛△7七桂成▲8四飛 △7六成桂
▲6四歩△同角  ▲8一飛成(第4図)

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 第3図からたぶん7六の金を活かす意味で▲8六歩と先手の方から動いてきた. 普通なら居飛車としてこの仕掛けは結構嫌なのだが,本譜では▲8五歩に△同桂が角に当たるので成立していない. そこはとじけんさんに錯覚があったようで,私も形勢が良くなったと感じた. △同桂に対して勢い▲8六飛と飛車を取ってきたので,勢い▲飛△角金の交換となったが,△同桂には▲8六角が有力だったと思う. 以下△7七歩(A図)と指せば,まだ急な戦いにはならなかったと思う. A図からはお互いに身動きが取れず指し手が難しいが,動かせる駒が少ない状況は先手が少し不満かもしれない.

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第4図からの指し手
             △8八歩
▲8三歩△7一金▲6一飛 △同金
▲同龍 △7九飛▲8二歩成△6七角
▲7二と△5一銀▲6二金 △4五角成
▲5二金△同銀 ▲7一龍(第5図)

f:id:Ashe_is:20170117201203p:plain

 第4図の局面は明快にこっちが良いとは思っていたが,具体的な指し手はよくわからなかった. 本局で一番長考した末△8八歩と打った. これは▲同龍なら△6六角など龍取りに角を打って,駒得を重ねる狙いである. 本譜は攻めあい狙いで▲8三歩と打ってこられたが,これには方針転換して△7一金と飛車を捕まえた,だって飛車だからね. 以下先手はと金を作り,こちらは飛車を打ち下ろし銀を取って第5図となった.

寄せに出る

第5図からの指し手
             △5八銀
▲4八金打△4九銀成▲同銀△2七馬
▲2八銀(第6図)

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 こちらの美濃はしっかりしているので,第5図からは寄せに出た. 振り飛車党の多くが美濃囲い大好きなのが良よく分かる. △2七馬には▲2八銀と使わせることができたので,それに満足して本譜は次に馬を引き上げたのだが,実はもっと良い手があった. 馬は逃げずに△4九馬と切ってしまって,▲同金に△5八金(詰めろ)と張り付く. 詰めろ逃れの▲3八玉に△4九飛成と迫り,▲2七玉に△2五金(詰めろ・B図)と縛る.

f:id:Ashe_is:20170117202930p:plain

 後の△3九龍を防ぐ▲3九角に,△2六銀▲1八玉△3八龍(C図)で完全に必至だった. 実戦でこうやって華麗に必至をかけられるといいだろうなぁと思う.

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第6図からの指し手
    △4五馬▲6二と△5九金
▲5二と△4九金▲同金 △同飛成
▲同玉 △5八銀▲同玉 △6七成桂
(第7図)
まで80手で後手勝ち

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 実戦では必至がかかると思わず△4五馬と引き上げたが,詰めろの△5九金に手抜いてこられたので,△4九金から清算して詰ましに行った. が,実は△5八銀は▲3八玉と逃げられたときに詰みを逃していて,正着は△5八金だった. 本譜は取ってくれたので,△6七成桂までで勝ちとなった. 以下どこに玉を逃げても,持ち駒の金2枚を並べて詰みである.

一局を振り返って

 本局は正直なところラッキー勝ちだった. 日程しだいなのだが,次回はもう少し事前準備を入念にして臨みたいと思う. クルクル角についても,まだまだ慣れていない部分が多いので,より洗練していきたい.

 余談だが,自戦記にネタを挟むのがなかなか難しいことも判明した,この問題もどうにかしたい(?).

指す将順位戦B3一回戦:対ぽてとさん

何か記事に問題があったら教えて下さい. あとこの自戦記はMarkdown記法のテストも兼ねてます.

指す将順位戦に参加したわけ

 私は某総帥と違って爽やか指す将なわけだが,将棋クラスタの人とはたぶん片手で数えられる人数しか対局したことがなく,あんまり棋譜をアップもしていない. このままでは17歳美少女JK爽やか指す将の立場が危ぶまれると思っていたところ,なんとゆーてん兄貴が指す将の順位戦なるものを開催するというではないか! 棋力の近い人を見つけて実際にウォーズや24で対局するっていうのは結構大変なので,間口を広げる意味でも結構良い機会だと思ったので参加してみたわけだ. 事前に対局相手が分かっているので,棋譜を公開している人に対しては対策を講じられるというのも惹かれた理由の1つである.

後手番で相掛かりに

初手からの指し手
▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩
▲7八金△3二金▲2四歩△同歩
▲同飛 △2三歩▲2六飛(第1図)

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 後手番を引いて先手浮き飛車の相掛かりとなった. ぽてとさんは棋譜を探してもあまり見つからず,どうも居飛車党っぽい?という情報のみあって本局に臨んだのだが,苦手な後手番の相掛かりとなってしまった. なんで苦手なのに指しているんだとツッコミを受けそうだが,最近角道をすぐに開けない指し方に凝っているのでチャレンジしているという面はある.

第1図からの指し手
    △7二銀▲1六歩△1四歩
▲3八銀△4二玉▲9六歩△9四歩
▲5八玉△3四歩▲7六歩△6四歩
▲2四歩(第2図)

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 局面が進んで第2図,先手中住まい後手4二玉型(なんとなく)に組んだところで▲2四歩と仕掛けられた. これは横歩を取る狙いなので本譜は△6三銀と6四の歩は守ったのだが,3四の歩は取られて少しつまらない展開にしてしまったと思う. 第2図では△同歩ではなく,△8八角成▲同銀△3五角▲6六飛△2四角(A図)のように,角を手放すが歩損せずに先手の飛車の位置の悪さを主張する指し方はあったと思う.

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実は序盤から必敗だった

第2図からの指し手
    △同歩  ▲同飛△6三銀
▲3四飛△8八角成▲同銀△2二銀
▲2四飛△8六歩 ▲同歩△同飛(第3図)

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実は第3図は必敗の局面である(). 一歩損したから動かないと,と思い飛車先交換したのだが,図から▲7七角と打たれると二枚換えを防ぐ△2三歩は仕方ないが,そこから▲8六角△2四歩と飛車を取り合って▲2四飛(B図)と打たれた局面は変化の一例だが,先手陣に隙がなく先手必勝の局面だろう. 飛車先交換をしたいなら先に△2三歩を打たなくてはならなかったのだが,幸いにも気付かれなかったので助かった.

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なんとか勝負できる形に

第3図からの指し手
▲8七歩△8五飛▲7七桂△8二飛
▲1五歩△2三歩▲2五飛△9五歩
▲8五飛△同飛 ▲同桂 △8二飛
▲8五歩△9八歩▲7七銀△9九歩成
▲3六歩(第4図)

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 ズバっと進めたが,途中△8五飛と途中下車したのは先手に▲7七桂を跳ねさせる狙いで,飛車交換から8二に飛車を打ち直すという辛抱をするハメにはなったが,△9八歩の狙いが実現した(▲同歩には△8九角の金香両取りがあった). 横歩を取られたあたりから後手不利だったが,香車を取れたところで形勢が良くなったのを感じた. 第4図の▲3六歩は右辺の逃げ道を用意した一手だったそうで,ぽてとさんもここでは悪くなったと思っていたそうだ.

 ちなみに▲1五歩を手抜いたのは桂馬を取られて▲3四桂を気にしたからである.

第4図からの指し手
    △5二玉▲8六銀△8三香
▲5六角△7四歩▲3五飛△3三桂
▲3七銀△8九と▲6六歩△4四角
▲3四飛△8五香▲同銀 △同飛
▲4四飛△同歩 ▲5九角(第5図)

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 浮いた8五の桂が取れるかどうかが争点となったが,受けに投入した▲5六角と▲3五飛に正しく対処できて8筋の突破が確実となった. 角も▲5九角と受けに使わせて,第5図ははっきり後手良しの局面である. ここからも正しく指せれば後手勝ちだったのだが……

悪手連発

第5図からの指し手
    △7九と ▲同金△9八飛
▲7八香△8七飛成▲8八歩△9七龍
▲8九金△5五銀 ▲9八金△同龍
▲8二飛△7二金打▲3四角(第6図)

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 ▲8八歩に△9八龍が第一の悪手.ここは△8二龍と引いておけば辛い指し回しで良かったと思う.本譜は△9七龍と寄ったために▲8九金から飛車が取られてしまった.その時の気持ちと言ったらもう

飛車取られたああああああぁぁぁぁっぁぁぁうわああああぁぁぁっぁぁひしゃぁぁぁぁぁ

である. そして▲8二飛に△7二金打と合駒したのが第二の悪手. これは△7二銀と移動合すると▲7四角の王手を気にしたわけだが,それには△6三桂と打っておけばなんでもないし,本譜は▲3四角と王手されていてこっちはうっかりしているわけである. なんと哀れ.

第6図からの指し手
     △4三金 ▲同角成△同玉
▲8一飛成△7一金寄▲8五龍△4五桂
▲5五龍(第7図)

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 ここで第三の悪手,銀をタダで取られる!!! これは完全にうっかりである. なんで角取りに銀打ったんですかね?

第7図からの指し手
    △5四歩 ▲3五桂△5三玉
▲8五龍△8三歩 ▲4三金△6二玉
▲4四金△3七桂成▲同角 △9六角
▲8六龍△7八角成(第8図)

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 そして第四の悪手!(まだあるのか)が△9六角. これ実は▲同龍と取られると相当に危なかったのだが,ばれなかったのでセーフ. 4回も悪手を放ったわけだが,第8図の局面はまだ後手が良い. まだ良いって書くってことは,まぁ悪くなってしまったわけである.

急転直下

第8図からの指し手
▲6五桂(第9図)

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 ▲6五桂と打たれて困ってしまった. △同歩と取っても3七の角の利きがあるので5三に斜めを打たれると相当苦しいと思った. が,そうではなくて△同歩と取っておけば後手の勝ちだったと思う. △同歩以下例えば▲5三銀△6一玉▲4三桂成(C図)とされても後手陣は大丈夫. 先手に持ち駒がないので△8八馬とかを指しておけば良かった.

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第9図以下の指し手
     △7三金▲5三金△7二玉
▲7三桂成△同玉(第10図)

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 桂馬は取れないと思ったので,逃げ道を広げるつもりで△7三金と指したが当然悪手. 筋よく迫られて第10図の局面となったが,後手玉に詰みが発生している. 手順は長いが,▲8三龍△7三香▲5二銀△同玉以下21手詰みである.

第10図以下の指し手
▲6三金△同玉▲8三龍△7三桂
▲5二銀△同玉▲7三龍(第11図)

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 詰みを覚悟したが,第11図の局面となり王手が途切れた. ここで先手玉を詰ますことができれば勝ちなのだが.

第11図以下の指し手
    △6九馬▲4八玉△8八龍
▲5八桂△同馬 ▲同金 △3八金
▲同玉 △5八龍▲4八銀△4九銀
▲2八玉△2四香▲2五歩△同香
▲2六歩△4八龍▲同角 △3八金
▲1八玉(第12図)
まで137手で先手の勝ち

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 △6九馬に▲4八玉と逃げてくれたのはありがたかったが,結局詰ますことはでず,投了となった. 優勢になってからの指し手の雑さが目立つ,課題の多い一局だったと思う.

一回戦を終えて

 普段の対局は将棋ウォーズが中心で,倶楽部24も指すときは早指し2(秒読み30秒・猶予考慮時間1分)しか指していないので,15分60秒で指してみると思ったより疲れてしまった. 優勢になってからの落手が多かったのも,集中力が途切れたのが原因だと考えられる. 二回戦以降,一局を通して集中力を持続できるように,15分60秒の持ち時間での練習をしておきたいと思う.

ちなみに

D図は投了直前の△3八金と打つ前の局面なのだが,実はここで先手玉に詰みが発生している!

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D図以下の指し手
    △2六香 ▲同角 △2七銀
▲同玉 △3八銀打▲1六玉△1五歩
▲同角 △同香  ▲同玉 △1四歩
▲2五玉△1三桂 ▲3四玉△4二桂
▲4五玉(E図)

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E図以下の指し手

    △4四歩▲5六玉△4五角
▲4六玉△3四桂▲3七玉△2五桂
▲4八玉△5八金(F図)

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 ▲同角と取られるのに△2六香と捨てて(まずここが見えない),途中打った桂2枚がどちらも1回ずつ跳ねるという奇跡的な順で詰んでいるらしい. 将棋ってすごいっすね(他人事).