指す将順位戦B3八回戦:対ポールさん

棋譜

例によってまたioの棋譜を貼っておきます. 棋譜コメはないです.

石田流アレルギー

初手からの指し手
▲7六歩△8四歩▲7八飛 △8五歩
▲7七角△6二銀▲6八銀 △4二玉
▲4八玉△7四歩▲6六歩 △7三銀
▲3八玉△6四銀▲5八金左△7三桂
(第1図)

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 石田流アレルギーをご存知だろうか? 石田流アレルギーとは,石田流をアレルゲンとするアレルギーである. 主な症状として,▲7六飛で全身が痒くなり,▲7七桂で全身に発疹が. さらに▲9七角で石田流本組みを完成されると呼吸困難に陥ることもあり,大変危険である.

 肝心な石田流アレルギーの対処法だが,石田流に組まれることを未然に防ぐことである. 本譜の4手目△8五歩はとても大事な一手で,ここで他の手を指すと,すかさず▲7五歩から▲7六飛を見せてくる. そして△6四銀から△7三桂を急ぐことによって,先手の石田流を完全に防ぐことができる. 私も石田流アレルギーを持っているので,この組み方を愛用している.

第1図からの指し手
▲2八玉△3二玉 ▲3八銀△3四歩
▲5六歩△5四歩 ▲4六歩△3三角
▲4七金△5二金右▲1六歩△2二玉
▲3六歩△1二香 ▲8八飛△1一玉
(第2図)

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 △7三桂と跳ねたらそこから囲いに行く. 右辺に相当手をかけてから穴熊に囲うので,相当欲張りである.

駒得を主張してみる

第2図からの指し手
▲6五歩△同 桂▲3三角成△同 桂
(第3図)

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 先手は囲いが完成していて,後手はまだハッチを閉めることができていないという絶好のタイミングなので,先手は当然仕掛けてくる. ▲6五歩には通常△7七角成と後手から角交換をすることでパンツが脱げるのを阻止するが,本譜は単に△同桂と取ってみた. これで後手はパンツが脱げてしまうのだが,その代償に1歩得となる.

第3図からの指し手
▲7七桂△4四角▲7八飛△8六歩
▲同 歩△同 飛▲9八角(第4図)

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 ▲7七桂に△同桂は味消しな気がしたので,△4四角と打って先手の飛車を睨んでみた. ▲6五桂にはもちろん△8八角成と飛車が素抜ける. 7七の地点へ利きを足した▲7八飛で8筋が薄くなったので,すかさず△8六歩と仕掛ける. そして▲同歩△同飛に▲9八角が本局の重要な一着. 手の意味としては後手の飛車成の防ぎだが,さすがに角がもったいないので「これは悪手だ」と囁いていた……,私のゴーストが.

穴熊(バラバラ)

第4図からの指し手
     △7七桂成▲同 銀△同角成
▲同 飛 △8八飛成▲8七飛△9九龍
▲8一飛成(第5図)

 結論から述べると,第4図では△8七歩が最善手だった. そうしておけば先手に▲8九歩と受けさせておいてそこから先手に攻めの手がないので,ゆっくり囲いを堅くできるというわけである.

 本譜は△7七桂成からはじけてしまった. 角を切って飛車を成り込んで調子はいいようだが,▲8七飛が良い切り返しで,先手にも飛車を成られてしまった.

第5図からの指し手
    △5一香▲8九角△9七龍
▲8八角△同 龍▲同 龍(第6図)

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 △5一香と取ったばかりの香車を自陣に打ちつけているのはおかしい気がするし,▲8八角が3三に浮いているパンツを咎めた一着. 結局作った龍は角と交換になってしまったし先手陣が堅いので,形勢を損ねてしまったことを意識した.

第6図からの指し手
    △6六角 ▲8一龍△6五桂
▲5五歩△5七桂成▲同 金△同角成
▲3四角△3二銀 ▲3五桂△2四金
(第7図)

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 とりあえず自陣に手を入れることはないな?と思ったので攻めることにした. 手がかりがないときは飛車角桂香という飛び道具で相手の駒に取りをかけながら手がかりを作っていくと良い. なんとか金桂交換をして馬を作ったところで,先手は▲3四角から▲3五桂と2三の地点を狙った数の攻めを繰り出してきた. 流石に攻め合い勝ちは見込めないので,△2四金と打って方針を受け切り勝ちに切り替えた. 将棋ウォーズの3分切れ負けおかげで,このような展開はだいぶ慣れている.

長い長い終盤戦

第7図からの指し手
▲2六桂△4六馬▲3七桂 △3六馬
▲5一龍△同金寄▲4三桂成△同 銀
▲3一飛△2一飛(第8図)

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 ▲2六桂は角に紐をつけた手だが,△4六馬から△3六馬と桂の土台を削ることで攻め駒責め責めタイムが見えてきた. 先手としては角と3五の桂が取られてしまうと相当きついので当然暴れてくるのだが,▲5一龍は驚いた. 当時の私は△同金寄と取ったみたいだが,これは疑問手. △同金引の方が金が玉に近いのだが,4三の地点への利きが減ることを気にして寄で取ったのだと思う. ▲3一飛も読み筋になくて相当びびっていたのだが,本譜の△2一飛で受かっている.

第8図からの指し手
▲3二香△同 銀▲同飛成△3一銀
▲4三銀△2六馬▲3六歩(第9図)

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 ▲3二香と香で飛車につないできたが,△同銀と取って▲同飛成に△3一銀と打ちつけた. 終盤戦で受ける展開は,「相手の攻め駒を減らして自陣の守り駒を増やせ」と私の脳みそにインストールされている. 先手も▲4三銀と清算せずなかなかわかりやすくしてくれないが,龍か銀を取ると相手の調子が良いと思ったので,このタイミングで△2六馬と角に紐をつけている桂をはずしてみた. ▲同歩だと△3六桂がきついと思われたのか,「敵の打ちたいところに打て」で▲3六歩と打ってこられた. しかし馬が生還するようでは,さすがにこちらが良くなったと思った.

第9図からの指し手
     △3四金▲2一龍△同 玉
▲3四銀成△3七馬▲同 銀△5六角
(第10図)

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 自玉の安全を重視して,馬を逃げるのではなく△3四金と角をはずした. そして▲3四銀成には△3七馬から△5六角! 3四の成銀取りと2九への駒の打ち込みをみている. このような両狙いの手を指すために将棋を指しているといっても過言ではない.

第10図からの指し手
▲3三成銀△2九飛▲1七玉△2五桂
▲2六玉 △1四桂▲1五玉△3二香
(第11図)

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 先手としては受けても仕方がないので▲3三成銀と強く出てこられた. ▲3二角からの詰めろである. 成銀には逃げられたが,2九への打ち込みは残っているので△2九飛とぶち込む. そこから王手を決めれるだけ決めて△3二香と受けた. 実践的ひよりである.

第11図からの指し手
▲1一飛 △同 玉▲2三成銀△同 角
▲2四金 △2二歩▲2五金 △2七飛成
▲2六歩 △3七龍▲2四桂 △2六桂
▲1二桂成△同 角▲2四桂 △2三桂
(第12図) まで116手でアーシェの勝ち

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 またもやものすごい駒捨てをやってこられて相当びびったが,なんとか落ち着いて対処して最後は一手詰までとなった. 第11図からは相当なポカをしない限り後手勝ちなのだが,私は心底びびりながら指していた.

一局を振り返って

 「優勢を意識しすぎるとよくない!」は心に刻むべきだと思う. あんなスカスカの穴熊で角を切ってしまうのはさすがによくない. それは置いておいて,本局は逆転あり白熱の終盤戦ありで,見ごたえのある将棋は指せたかな?と思っている. 優勢を維持したままストレートに勝った方が対局時は楽なのだが,色々あったほうが自戦記は書きやすい().

 さて,本局に勝ったおかげで一応勝ち越しの目を残すことができた. 色々な因縁がかかった最終局はいったいどうなったのか!? 大ボリュームでお届けするのでお楽しみに!