指す将順位戦B3九回戦:対aquaさん

2月14日

みなさんは2月14日が何の日がご存知だろうか. バレンタインデー?NO.羽生さんが七冠を達成した日?あーまぁそれは将棋クラスタ的には正解かもしれないけど…….

正解はaquaさんと因縁の仲になった日でした!!!

というのも2月14日に以下のようなやりとりがあったのだ.

私は素直()に褒めてお礼を言っているいるのにaquaさんはすぐに殴ってくるのでこれは許せない!()

aquaさんとの直接対決が最後の9回戦に組まれているのはこのとき運命かと思った. 2ヶ月以上後の対aqua戦に向けて,それだけは絶対に勝つと固く誓ったのである.

棋譜

棋譜コメはないです!

意表の四間飛車

初手からの指し手
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角
▲4八銀△4四歩▲6八玉△4二飛
▲5六歩△6二玉▲7八玉△7二玉
▲9六歩△9四歩▲9七角(第1図)

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戦型は私の十八番となりつつあるクルクル角となった. 一応最近凝ってている戦法ではあるが,スペシャリストというわけではないのでそこは1つ断っておきたい. 最近aquaさんは居飛車も指しているので相居飛車になることも予想していたのだが,四間に飛車を振ってきた. 私がクルクル角を得意にしていることは知っているはずなので,なかなか男だなぁと思った次第である.

第1図からの指し手
    △5二金左▲7五角△8二玉
▲8八玉△7二銀 ▲7八銀△2二飛
(第2図)

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クルクル角ならよくある進行が続いたが,第2図の△2二飛は少し早いと思った. △2二飛は振り飛車の左銀の紐がはずれる前に指しておけば十分なので,かなり早い. 理由は以下のツイートで説明しているので載せておいた.

aquaさんの対策

第2図からの指し手
▲3六歩△4二銀▲3七桂 △4三銀
▲5七角△5四歩▲5八金右△4二角
▲1六歩△3三桂▲2六飛 △5三角
(第3図)

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ちなみにこの対局がいつあったのか覚えているだろうか? 5月3日である. どんだけ自戦記書くのサボってんねんってのは置いておいて,バレンタインデーの因縁ができたときから対局日まで2ヶ月半あったわけである. その間aquaさんにはかなり準備する時間があったわけで,たぶん第3図が私のクルクル角の対策だったのだ. △5四歩~△5三角の形を作ることによって,先手の2六飛を睨んでいる. 私は飛車を浮いてから▲3五歩と歩交換を狙う指し方をよくしているので,よく研究してきたのだろう.

第3図からの指し手
▲3五歩△同 歩▲同 角△3四銀
▲6八角△4五歩▲3六飛△3五歩
▲2六飛(第4図)

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明らかに先手の浮き飛車を狙っての△5三角なので,落ち着いて▲2九飛と引いてもよかったのだが,「この野郎!」という勢いで▲3六歩から歩交換を狙ってみた. もちろん勢いだけではなく,▲3六飛と一旦逃げて△3五歩を打たせてから▲2六飛と戻っておけば大丈夫という読みである.

第4図からの指し手
△4三金(第5図)

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結論から述べると,この金上がりを軽視していた. いや,読んでいなかった() しかもこの後△4三金を活かした好手まで発生してしまう. このあたりは少し模様を悪くしてしまったと思った.

何回も負けかける

第5図からの指し手
▲1五歩△8四歩▲4六歩△3六歩
▲同 飛△3五銀▲1六飛△4六歩
▲3六歩(第6図)

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△4四金~△3六歩とこられると厚みで潰されてしまいそうだと実戦では考えた.そこでまずは後手が1筋を突いてないので▲1五歩と飛車の逃げ場を増やした. そこから▲4六歩と動いたのだが,その瞬間の△3六も軽視していた.

そして第6図の▲3六歩は悪手である. 銀を△2六銀と逃げられてしまうと,A図のように次の△2七銀不成で飛車がピンチだ.

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第6図からの指し手
    △4四銀▲4六角△4五歩
▲5七角△5五歩▲4七銀△6四角
▲4八金△5二飛▲7九角△5六歩
▲5八歩(第7図)

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本譜は△4四銀だったので,こちらの飛車が一命を取り留めた形である. 3筋周辺の争いが一段落したあとは△5五歩と5筋から攻めてこられた. ここからも私のミスが目立って,▲4八金は3七の桂に紐をつける手だが,囲いから金が離れて感触が悪いし,▲7九角もそこに引くなら▲5七角と一度途中下車した手が無駄である.△5六歩に▲5八歩と凹んで受けた局面は居飛車不利だろう. タイミングを計って▲5八金右と美濃囲いを復活する手もないし,4五の拠点がなんとも嫌味で,完全に押さえ込まれてしまっている.

第7図からの指し手
    △5五銀▲2四歩△同 歩
▲4四歩△同 金▲2四角△3二歩
▲7九角△4六銀▲3八銀(第8図)

もうこちらとしては間違えてもらうしかない棋勢である. なんとなく▲2四歩と突き捨てて,なんとなく▲4四歩と叩いてみる. 一応金を上ずらせて3二に歩を打たせたのはこちらのポイントだが,後手には△4六銀と自然な攻めがある. △4六銀に▲同銀と取るのは△同歩と歩が伸びてくるのが気になったので▲3八銀と引いたのだが,これは悪手.

第8図では△7五角(B図)が好手. 居飛車に4八の金取りを受ける上手い手段がない. ▲4九金は△5七歩成から突破されるし,▲4九銀も△3七銀成(不成)から△5七歩成で突破される.

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第8図からの指し手
    △9五歩▲2六飛△9六歩
▲9八歩△2五歩▲同 桂△5七歩成
(第9図)

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本譜は△9五歩だった. これはこれで▲同歩と取ると角も9七の地点に利いていてなんとなく嫌だったので,2筋の突き捨てを活かして▲2六飛と回った. △9六歩の取り込みには苦しいが▲9八歩と凹んでおいた. そして△5七歩成が転機. ここから形勢の針がこちらに傾きだした.

後手の錯覚

第9図からの指し手
▲同 歩 △同銀成 ▲同 角△同飛成
▲同 金 △4八角 ▲2七飛△2五桂
▲5八金引△3九角成▲2五飛△3八馬
▲2一飛成(第10図)

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▲同歩に△同銀成と銀を捨ててきた. これには対局時相当驚いたが,同時にチャンスが来たのでは?と思った. ▲同角に△同飛成と飛車も切ってから△4八角. aquaさんはこの角打ちに期待したようだが,一旦は▲2七飛で受かる. △2五桂に▲5八金引と金に紐をつけてから▲2五飛と走った. 銀は取られても飛車が捌けるなら安いもんである.

第10図からの指し手
     △5一歩▲7六桂△1九角成
▲5二歩 △同 歩▲4一飛△5一香
▲4四飛成△7四馬(第11図)

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△5一歩. この手を見て流れは自分にあるなと思えた. 後手が△8四歩と突いているので,後の▲8四桂を見越した▲7六桂を決めてから▲5二歩と横から切り崩しにかかる. 二枚換えと金取りの両狙いの▲4一飛を打って,△5一香と守ってこられたので▲4四飛成と金を取った. 4四の金は完全に働いていなかったが,ここは無理をしない,負けない将棋を指そうという方針に切り替えていたので取ることにした. 後手は△7四馬と馬を引きつけて完全に粘りモード. こちらは焦らず着実に攻めていきたい.

第11図からの指し手
▲1一龍△4六馬▲5七銀△3七馬
▲4三歩(第12図)

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少し前までは相手の間違いを待つ状況だったが,今は自分が間違えていはいけない状況である. よって,とりあえず▲1一龍と駒を蓄えた. 攻め始めてから駒が足りなくなって香車を補充することになるのは嫌なので,先に取っておこうという思考である. 7九の地点を睨む△4六馬には▲5七銀と惜しげなく打った. もうなにより負けないことが大事なので,攻め駒が足りなくなる恐れとか考えてられない. そして第12図の▲4三歩が自慢の手である. いわゆる「友達をなくす手」であるが,まぁaquaさんなら今後とも仲良くしてくれるでしょうと思って打った.

後手猛攻

第12図からの指し手
    △9七銀▲同 歩 △同歩成
▲同 香△同香成▲同 桂 △9六桂
▲7九玉△5六香▲4八銀打△5七香
▲同 銀△8八銀▲6八玉 △9七銀不成
(第13図)

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さすがに後手としても▲4二歩成が間に合ったら目も当てられないので,△9七銀と勝負手を放ってきた. ▲同桂と取った後の△9六桂は実戦的に嫌な手で,「逆転してしまうかもしれない」という思いが常にちらついた. △5六香も▲同銀と取ったら何かあるかもしれないと思って▲4八銀打と打ったが,さすがにそれは取ってよかったと思う.

第13図からの指し手
▲4二歩成△8八桂成▲5一と△5六桂
▲同 銀 △同 馬(第14図)

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後手の持ち駒が桂1枚ではさすがに早い攻めはないと思い,満を持して▲4二歩成とと金を作った. △5六桂には▲同銀の一手. 銀を取った△5六馬に▲5七香と打って受ける手も考えたが,さすがにここは決めるところだろうと思いなおした.

収束

第14図からの指し手
▲8四龍△8三歩 ▲9四桂△7一玉
▲6一と△同 銀 ▲8二金△6二玉
▲5四龍△4六馬寄▲5七香△5三銀
(第15図)

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ワンチャン詰むのではと思って▲8四龍と王手をかけた. ひたすら目につく王手をかけて▲8二金まで決めたが,詰ましきれなかったので▲5四龍と回った. 一応5三の地点を塞ぐとともに5六の馬取りになっている手である. 王手をかけながら逃げる△4六馬寄には合駒をしながら5二の地点を狙う▲5七香がぴったり. 龍に当てながら5筋を守る△5三銀だが,これには詰みがある.

第15図からの指し手
▲7二金打(第16図) まで143手で先手の勝ち

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▲7二金打までで私の勝ちとなった. 以下△同銀の一手だが,▲7一龍までの即詰みとなる.

本局はお互いの得意形となり,そこから3筋での捻り合いや途中派手な手,逆転があって,大変面白い内容にできて満足である.

第一期指す将順位戦を振り返って

最初は「全勝します!」と大見得切って臨んだのだが,最終的には5勝4敗とぎりぎり勝ち越しというスコアになってしまった. 負けた4回は全部自分のミスで悪くしてしまった将棋なので,全勝も夢ではなかったと思う. 来期はB級2組で,一期のB級3組と同レベルのクラスなので,今度こそは全勝狙って頑張りたいと思います! 自戦記もそれなりにがんばります.